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そしてその後勇者ロイトと呼ばれるバカ?と周囲の景色と比べて、一際目立った光を放つ大きな酒場で合流した。
「リアメル、その子誘拐したのか?ぁあー?」
「この子は今日から仲間になった名無しちゃんです。
''キオクソウシツ''って病気?かもしれないってさ」
「へー...ってよく見たら羽生えてる?かっけー。」
ロイトが思ってもいないことを言っているかのような棒読みでそう言う。
「絶対思ってないでしょ?全く...吞みすぎないでね!」
「仲間?」
「そうよ?二人より三人のほうが行動しやすいしいいでしょ?
それにどうせ君、行くあてないでしょ?」
「いいの?リアメル...迷惑じゃないの...?」
「全然?むしろありがたいくらいよ。竜人なんて。」
何故かリアメルは自慢げにそういった。
「はは...どうしたリアメルぅ!どうせ実験したいだけだろぉ?」
「実験って何よ実験って!失礼でしょ?!」
「自分で実験ってぇ言ってただろぉぅ...」
酔っ払って喋り方が崩れたロイトに悔しくも、リアメルは図星を突かれたようだった。
「うー...確かにそうだったわ。」
「そういえば名前ないのかぁ?」
「名前...覚えて...ない?あれ...何だったっけ...」
彼女は少しだけ、思い出したような気がしたのだった。
「そういや、なぁ...過去の事ってトラウマの程度が大きいとその部分は忘れるらしいぜぇ?もしかしたら、ある種の''キオクソウシツ''じゃないのかぁ?」
「ふーん...そうかもだね、なら覚えてる限りの過去を思い出してみて?」
そして彼女は目を静かに閉じて、二分程考えた...
「お母さん...あれぇ...」
「何か思い出せた?」
「お母さんと知らない他の人と三人でご飯を食べた...」
「お母さんいたんだね?でもそれだけなら原因はつかめそうにないかなー...」
「まあいつか分かるだろ...それよりもリアメルも呑めよぉ...」
「私はこの子と食事しに来たの!今日は呑まないわ。」
「そうかぁ...つまんねーの~...宿でも予約して来いよぉ」
「もうしといたから先に行ってくるわ。これあげるからロイトはそこで食べてきなさい。この子十数日食べてないみたいだからロイトの宿のご飯は無し。」
「こんなにもらっていいのかぁ?」
「今日だけ特別よ!」
「りょうかーい」
「飲みすぎないようにね!」
リアメルはそう言って騒がしい酒場を後にし、落ち着いた雰囲気の宿の部屋に移動した。
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