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NO.12
あなたと会えることで
今日も1日を頑張ろうと思える
私は仕事へ車で向かう。
大体同じ時刻に家を出る私は、
毎朝、同じ車とすれ違う。
どこの町の誰かもわからない。
ただ私が出勤する時間帯に
私のように出勤する人達。
ただそれだけ。
すれ違い様に、どんな人が運転しているのか
見えるときがある。
様々な年代の、様々な職業であろう人達。
そのなかの1人に、自分と同年代ぐらいの男性がいる。
きっかけは些細なことだったと思うけど、私はその男性のことが少し気になっている。
ただ車ですれ違うだけの、どんな人間かもわからない奴にそんな感情を抱くのは、おかしいだろ!と言われても仕方ないし、自分が1番おかしいと思っている。
でも何故だろうか。気に…、なる。
きっと、きっかけは本当に些細なこと。
すれ違い様の道が狭くなっているところがあって、どっちかの車が待たないとすれ違えなかったときが何度かあり、お互い待つ方になったこともあるし、待たせる方になったこともあった。
待たせる方になったとき「ありがとうございます」という意味を込めて、軽くハンドルから手を挙げることが(全国的なのか、この地方だけなのか不明だが)マナーみたいなものなので、それをあの男性からされたときに嬉しいという感情が湧いてきたからかもしれない。
たったそれだけのことが私のなかでは、とても印象付いていて、あの男性も今から仕事に向かうのかと思うと、自分も頑張ろうと思えてくる。
男性の車の車種はもちろん覚えているのだが、同じ車に乗ってる人は何人もいるので、ナンバーで覚えている。
男性の車のナンバーは「12」だ。
今日も私はNO.12を探している。
「いってらっしゃい」と言うように、
今日もただすれ違う。
≪END≫
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