憎悪の声

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◇◇◇  教えられた神社は確かにほとんど手入れをされていないのか、雑草で荒れ果てていて足を踏み分けるのが大変だった。  木で出来た赤い鳥居は腐っているようで、中が剥き出しになっている。  拝殿を抜けて奥へ進むと、林の中に道のような隙間があることに気づく。  まだ夕方だというのに、辺りはどんよりとしていて暗い。小降りの雨はこのあと更に勢いを増すそうだ。  林の中をかき分けて進んで行くと、聞いていた通り古びた井戸があった。ホラー映画に出てきそうなほど恐ろしい雰囲気を漂わせている。井戸の上には石で出来たフタがあり、それを力一杯押し込んでゆっくりとずらしていく。  中を覗き込むと、真っ暗でなにも見えなかったが、側溝に溜まったヘドロのような悪臭が臭ってきて思わず顔を背けてしまう。  そのまま、雨が強くなるのを待った。  心の中にあるのは、ずっと一緒にいたあの顔だ。あいつさえ消えれば……。  予想通りというべきか、雨は本降りとなり大きな雨粒が差していた傘に打ちつけくるのが分かった。
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