つないだその手を

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 あれからまた一年――  私は中学三年生になった。  今年も、父に連れられて田舎へ来ている。  居間で祖父母と談笑していた父は、二階の部屋から降りてきた私を見て言う。 「お、勉強終わったのか?」 「まだ。私、ちょっとコンビニでアイス買ってくる!」 「おいおい、この近くにコンビニは――」  父の言葉を最後まで聞かず、私は家を飛び出した。  夏の暑さを()き立てるように、蝉が鳴いている。  私は適当にぶらぶらと歩きまわった。  そして、帰り道。  迷わず差し伸べられた手を、私はつかんだ。  ひんやりとしたその手は、やっぱり心地よかった。  今度は、この手を自分から離そうと思う。  私は大丈夫だよ、と。  精一杯の笑みを浮かべて――    〜おしまい〜
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