つないだその手を

1/4
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

つないだその手を

 その手はいつも、私を迎えに来てくれた。  学校の帰り、習い事の帰り、友だちの家へ遊びに行った帰り――  私はその手がとても好きだった。 「お母さんの手、冷たくて気持ちいいね」 「ふふ、お母さん冷え性だから……」  母の手は私よりも体温が低く、夏は特に心地よかった。まだ小さかった私は、そんな母の手を頬にあて、よく涼んでいた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!