秘密の健太くん

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中学三年生になり、高校受験を控えた悦が、将来何になるとか、どういう風に生きたいとか、考え始めると、どうも漫然として、机に向かっても、参考書の中身が頭に入らないので、悦はベッドに臥せて、ついには眩しく感じて、電気も消した。 こんな時、誰に相談すればいいのだろうか、暗闇の中で、白目だけを光らせながら、悦は天井を見つめ、漠然と考えた。 悦はいくらか大人になってきて、生意気さを発揮し、男らしくあろうと、最近は誰かと喧嘩をすることはあっても、誰かに頼るようなことは、しばらくしていない。 そんなにグレているわけではないけれども、多少は反体制の気骨もあり、テレビを見たり、町の噂を聞いたりして、そのことに対して、悦が意見をする度に、親とぶつかり、あの人たちになど、全く相談しようとは思わなかった。 あぁ、しかし、誰かに相談しなければ、自分一人では、何も決められないと悦は打ち萎れた。 そうして、少し苛々と気を揉んでいると、ふと、悦は健太くんのことを思い出したのだ。
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