1人が本棚に入れています
本棚に追加
健太くんは様々な遊びの知識を、悦に伝授してくれただけでは無く、これは健太くんと悦しか知らないことだけれども、健太くんは悦の命の恩人だと言っても過言ではない。
悦は祖父と妹と健太くんと一緒に、一度だけ海水浴に行ったことがある。
悦は健太くんに膨らませてもらった浮き輪に身体を通して、沖まで出て、波が来ると、全力で浜辺に向かってバタ脚をして、波に乗り、浜辺まで流れてくる遊びを繰り返していた。
祖父と健太くんは、妹を砂に埋めたりして、きゃあきゃあと喜ぶ妹と遊んでいた。
ところが、いつの間にそんなに引き潮が強くなったのだろうか、悦はどんなにバタ脚をしても、波に乗れなくなり、それを何度か繰り返しているうちに、浜辺に戻れなくなってしまっていたのだ。
幼い悦は疲れ果て、まだそんな危機に自分が遭遇していることすら解っていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!