秘密の健太くん

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健太くんは様々な遊びの知識を、悦に伝授してくれただけでは無く、これは健太くんと悦しか知らないことだけれども、健太くんは悦の命の恩人だと言っても過言ではない。 悦は祖父と妹と健太くんと一緒に、一度だけ海水浴に行ったことがある。 悦は健太くんに膨らませてもらった浮き輪に身体を通して、沖まで出て、波が来ると、全力で浜辺に向かってバタ脚をして、波に乗り、浜辺まで流れてくる遊びを繰り返していた。 祖父と健太くんは、妹を砂に埋めたりして、きゃあきゃあと喜ぶ妹と遊んでいた。 ところが、いつの間にそんなに引き潮が強くなったのだろうか、悦はどんなにバタ脚をしても、波に乗れなくなり、それを何度か繰り返しているうちに、浜辺に戻れなくなってしまっていたのだ。 幼い悦は疲れ果て、まだそんな危機に自分が遭遇していることすら解っていなかった。
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