秘密の健太くん

14/20
前へ
/20ページ
次へ
今考えれば、あれは本当に危なかったのだと思う。 幼い悦にも、小さな男のプライドがあったので、それをなかなか認めたがらなかったけれども、今では健太くんに感謝している。 健太くんはどこに行ってしまったのだろうか。 かつての借家には、知らない人が住んでいることを、悦が小学校五年生くらいの時に確認した。 「なんだお前!何しに来た!」 ただ悦は、健太くんに会いたかっただけなのに、新しい住民は、苛々として怒鳴りつけ、何かを恐れているみたいだった。 下手な日本語から察するに、あれは日本人ですらない。 一度、親に尋ねたことがあるが、気不味そうにはぐらかされて、はっきりとした答えは返ってこなかった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加