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今考えれば、あれは本当に危なかったのだと思う。
幼い悦にも、小さな男のプライドがあったので、それをなかなか認めたがらなかったけれども、今では健太くんに感謝している。
健太くんはどこに行ってしまったのだろうか。
かつての借家には、知らない人が住んでいることを、悦が小学校五年生くらいの時に確認した。
「なんだお前!何しに来た!」
ただ悦は、健太くんに会いたかっただけなのに、新しい住民は、苛々として怒鳴りつけ、何かを恐れているみたいだった。
下手な日本語から察するに、あれは日本人ですらない。
一度、親に尋ねたことがあるが、気不味そうにはぐらかされて、はっきりとした答えは返ってこなかった。
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