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悦の家を本家と呼ぶなら、健太くんの家は分家なのだろう。
健太くんの家は、悦と同じ町内の近所に、小さな借家をしていて、悦の祖母が元気だった頃は、時々顔を見せていた健太くんとその両親も、悦が小学校に上がった年に、祖母が急逝してからは、悦は一度も、その家族を見たことがない。
健太くんの父親は、板金工をしていて、近所の歴史ある神社の、銅屋根を張ったり、金具を修理したりしていたはずである。
それでも生活は楽ではなかったのであろう。
悦が健太くんの所に遊びに行った時は、必ず学生服を着ていて、今思えば、それが一張羅だったのだと思う。
初めて、悦が祖父に連れられ、健太くんの家に遊びに行った時、学生服姿の健太くんは悦の面倒をよく見てくれて、飼っているメダカやウサギや鶏を見せてくれた。
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