秘密の健太くん

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「鶏飼ってるなんて珍しいね」 率直な疑問を口にする悦に、健太くんは苦笑いして、これはペットじゃなくて、卵を産ませて食べるためだと説明した。 健太くんは、幼い悦にも、よくわかるように説明するのが得意で、何でも教えてくれる健太くんが、悦は大好きだった。 健太くんに神社の奥にある御手洗(みたらし)に連れて行ってもらった時、そこには大きな池があって、50円で鯉の餌を買って、それをそこで投げて、鯉たちが口をパクパクするのを眺めたくて、悦は健太くんに鯉の餌をねだって、駄々を捏ねたことがあった。 「悦、あそこの水路にタニシがいるから、それを取って来て、鯉に投げたら、あの餌より美味しそうに食べるよ」 「ほんと?」 「もちろんだよ」
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