秘密の健太くん

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悦はびしょびしょになりながら、水路でタニシを、ポケットがパンパンになるほど取って来て、鯉の池に少しずつ投げると、鯉たちは我先にと、ばしゃばしゃ水飛沫を上げて、面白い程食らい付いて来て、悦はポケットのタニシがなくなると、また水路で集めて、また鯉に投げるというのを、楽し過ぎて、何度も繰り返した。 健太くんが言ったのは、本当だった。 また夏のある日、カブトムシに夢中になっていた悦が、神社の森に、カブトムシを取りに健太くんに連れて行ってもらった時である。 あちこち探したが、カブトムシはなかなか見つからずに、やっとメスのカブトムシを一匹捕まえただけで、ガッカリして悦が帰ったことがあった。 「明日は少し遠いけど、もっとカブトムシが取れるところに連れて行ってやるよ」 健太くんは、肩を落とした悦に、笑顔で言った。
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