1人が本棚に入れています
本棚に追加
いつも学生服を着ている健太くんは時々、元気が無く、何か悩んでいるようだったが、悦がそんな健太くんの俯きかけている顔を覗き込むと、目尻を下げて、まばらな無精髭が目立つ口元を緩めて笑った。
今度は小川でザリガニを捕まえようと、スルメを持って、悦は健太くんと小川に着いた。
「ザリガニにはスルメでしょ?おじいちゃんに教わった」
健太くんは頷いて、それが正しい選択だとばかりに、他には何もアドバイスしないで微笑んでいる。
小川の水に着けると、スルメはふやけて、時にはその流れに負けて、スルメを釣り針からさらわれて、持ってきたスルメを全部使っても、ザリガニは二匹しか取れなかった。
健太くんはそれを大人しく見ていただけで、何か悩み事でもあるのか、小川の水面をぼんやりと見つめながら、そうしているだけであった。
最初のコメントを投稿しよう!