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梅雨が明けて関東地方は連日の猛暑だ。美代はエアコンの効いた事務所で上司の山岡に話しかけられた。
「美代ちゃんは幽霊を信じる?」
山岡は四十になったばかりの既婚者だ。背が高くて一重の大きな目をしている。美代は二十六歳。二つ上の彼氏がいる。本人の外見はとても良い。小さな顔に二重の目。高い鼻にふっくらとした唇。美代は山岡の問いに答えた。
「信じますよ。子供の頃、幽霊の小山内くんっていう友達がいたんです」
「へえ、美代ちゃんは視える人なんだ」
美代は微笑んだ。
「高校生までで霊感はなくなりました。山岡さんは信じないほうですか?」
「俺も信じるよ。でも視たことはない。存在を感じることはあるけどな」
山岡はそう言って口角をあげた。
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