小山内くん

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土曜日になった。朝から暑い。一階に降りて洗面所に行くと鏡に映った頬がこけているように感じた。  飲んだ次の日はお味噌汁だけ飲む。お父さんもそうだ。キッチンのテーブルで豆腐とわかめの味噌汁を飲んでいるとスマホから着信音がした。画面を見ると俊太だった。 「今日、渋谷で映画を観ないか?」 「映画かー。いいよ。相談もあるし」 「じゃ、十一時にハチ公前で待ち合わせしよう。お昼を奢るよ。映画は午後にしよう」  俊太はそう言うと美代の返事を待たずに「なにかあったら連絡をくれ」と言って電話を切った。  美代は渋谷に行くのに何を着ていくか考えた。ピンクのロングワンピースもいいし、白いサマーニットを着てクリーム色の花柄が入ったロングスカートもいい。  服が決まらないまま化粧をした。眉毛を描いてベージュ系のアイシャドウにアイライナーをひく。  結局、サマーニットにロングスカートにした。ヒールが付いたサンダルを履いて家を出る。渋谷には時間通りに着いた。俊太がポロシャツにチノパンで立っていた。 「俊太、早いじゃない」 「着いたばかりだよ。お昼はどうしようか?僕が二つあげるから答えて」 「あ、それなら楽でいい」  美代は目を細めて微笑んだ。
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