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「フレンチか懐石」
「なんかやたら豪華じゃない?」
「ランチは安いよ。今日なんの日か忘れた?僕たちが初めて会った日だよ。実は僕も忘れてたんだけど、弟が夢に出て教えてくれたんだ。弟は美代ちゃんって呼んでた。友達だったんだって?もしかしてこの前話してくれた幽霊の友達?」
俊太は笑顔で問いかけた。小山内くんが俊太の弟だとすると名字が合わない。俊太は坂井だ。
「私が友達だったのは小山内くんだよ」
「やっぱり。僕のお母さんは再婚なんだ。その前は小山内だったんだ」
美代は凄い偶然に驚いた。俊太が言う。
「ここで長話もなんだからお昼を食べよう。フレンチと懐石どちらがいい?」
「じゃ、懐石。予約なしで入れるの?」
「ああ、そういう店を見つけておいた」
俊太はそう言うと歩き始めた。美代は後をつく。モヤイ像の近くに和風の品のいい懐石料理店があった。
引き戸を開けて中に入る。テーブル席が四つあった。一番奥の席は老夫婦のような二人が座っている。美代と俊太はその隣に案内してもらった。
「ランチのコースがあるんだな。この寿司のコースにしようか?」
「うん」
美代はメニュー表を閉じた。
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