37人が本棚に入れています
本棚に追加
前菜が小鉢で六品も来た。どれも美味しい。寿司も新鮮で美味しかった。
「なんで小山内くんは私と俊太が出会った日を知ってたのかな」
「さあ、あの世に行かないで知り合いの周りをウロウロしてるんだろ」
俊太はそう言うと思い立ったように言った。
「映画を止めて納骨堂に行こうか?ちょうど渋谷区にあるんだ。駅で言うと代々木だけどね」
美代もそれでいいと思った。小さい時の友達なんだからお参りはしておいた方がいい。小山内くんも喜んでくれるだろう。
代々木八幡入口でバスを降りて煌びやかな外観で五階建ての納骨堂へ入った。入口の受付で名前を書く。若いお坊さんに案内されて三階へ行った。骨が収められている部屋に入るとお坊さんは小さな扉を開けた。小山内くんの遺影と骨壺があった。太陽の光を浴びて笑っている写真。小さいときの夏は幽霊でもこんな表情をしていた。
「小山内くん、俊太の弟だったんだね。記念日を教えてくれてありがとう」
美代は遺影に向かって言った。俊太もお礼を言う。
「いつまでもこの世をうろうろしてるなよ」
すると美代は耳鳴りがして視界がぼやけた。倒れそうなほどだ。
なんだか体の調子がおかしいので美代は帰ることにした。俊太は心配そうだったが夜に連絡すると言った。
最初のコメントを投稿しよう!