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特に何事も起きず、月曜日になった。会社へ行くと設計士の山岡が来ていて美代を見るなり言った。
「調子悪いの?痩せたんじゃない」
「そうかな。食べてはいるんですけどね」
「美代ちゃん、この事務所に霊がいるよ。気配を感じる」
美代は小山内くんだと思った。でも小山内くんは小さいときの友達で今まで害を及ぼしたことはなかった。
「小山内くんだと思います。悪い霊じゃないから大丈夫ですよ」
紀香も出勤してきた。袖が膨らんだシャツに紺色のプリーツスカート。紀香は小さく悲鳴をあげた。
「なに?色の白い男の子がいるけど」
山岡は事務所のドアを開けた。
「幽霊は出て行ってくれ。美代ちゃんに憑りついてるんだろうけど、これ以上憑くようなら怨霊払いに行かせる」
山岡はドアを開け放ったまま、机の引き出しから塩を出して撒いた。
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