37人が本棚に入れています
本棚に追加
営業の人は野口と広田という。先ほどから喋っているのは広田。三十代の独身だ。顔は悪くないし人当りがいいからモテないわけではないのだろう。彼女くらいはいるのかもしれない。
「その小山内くんっていう子はどうして死んだのかな」
「本人は病死って言ってました。体が弱かったんだって」
「そうか。可哀そうにな。美代ちゃんは優しいから小山内くんも嬉しかったと思うよ」
美代は微笑んでお弁当のゴミを流しに持っていくため事務所を出た。洗剤をつけて綺麗に洗ってから布巾で拭いた。プラスチック用のゴミ袋に捨てる。
事務所に戻るとみんなは食べ終わって男性たちは入れ違いに事務所を出て行った。美代は紀香に言う。
「私も少し寝るね。昨日の午前様が堪えちゃった。十五分でも寝ると違うっていうから」
「うん。そうしたほうがいいよ。今日はそんなに忙しくないんだから二時くらいまで寝ちゃえば?」
紀香は悪戯っぽく笑った。美代は机の上に手をクロスして眠りについた。
最初のコメントを投稿しよう!