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「また夢で遊んでくれる?」
「うん、いいよ。現実だと無理なの?」
「歳が離れすぎているから」
小山内くんはまた寂しそうに笑った。美代はそこで目が覚めた。昼寝したのに寝る前より疲れている感じがする。頭が重く体が怠い。周りを見ると営業の二人は居なくて紀香は寝ている。時間は一時十五分だ。急いでパソコンのマウスを動かす。パソコンはスリープ状態から立ちあがった。山岡が目を細めて笑う。
「まだ寝ててもいいんだよ」
「いえ、仕事します。新しいマンションの図面がありましたよね」
「ああ、この新橋の近くに建てるファミリー型マンションな。じゃあ、描き始めてくれ」
美代は眠気の残る中きちんと仕事をした。
六時になった。仕事は基本、九時から六時までだ。営業の二人は帰って来てないが紀香はパソコンの電源を落として帰る準備をしている。美代も絵梨も同じようにパソコンをシャットダウンした。
今日は金曜日だ。美代は彼氏と飲みに行く約束がある。飲むといっても高級な店ではなくて新橋の居酒屋だ。待ち合わせは駅前のカフェ。美代の会社はオフィスカジュアルなので着替える必要はない。グレーの柔らかい素材のシャツにひざ丈の黒いスカートで十分だ。
カフェに着くとコーヒーのSサイズを頼む。これからお酒を飲むのにあまり水分は入れたくない。通りに面したカウンター席に腰掛けると小説を開く。彼氏の職場は銀座だ。東京メトロで二分ほどだが、待ち合わせをすると大抵は遅れて来る。
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