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「幽霊の友達がいたのか。美代に霊感があるとは思わなかったよ。実は僕の弟が十歳で死んでるんだ。病弱な子でね。美代は弟が視える?」
「大人になったら霊感が無くなっちゃって。俊太、弟がいたんだ」
ウナギの肝焼きが来た。生が飲み終わってるので俊太は同じもの、美代はレモンサワーを頼む。
「ああ、弟とよく散歩したよ。病気があるから一日に十五分だけ外に出てもよくてね。公園を見て遊んでみたいって言ったけど無理だったな」
「そう、可哀そうだね」
美代は眉を下げる。
焼き鳥を二本づつ追加して美代はレモンサワーを三杯飲んだ。いい感じに酔ったので時計を見た。九時だった。
美代は都内に住んでいる。品川区の一戸建てだ。俊太も品川区だが少し離れていてマンションだ。
俊太がすべて払ってくれて店を出た。美代は浅草線で三田駅まで行ってそれから三田線に乗る。俊太は京浜東北で一本だ。駅で別れると電車に揺られた。
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