これが恋なら?

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「まだ、お父様の関門もあるし、どうなるか分からないけど」 あたしがそう言うと、マティアスは遠くを見ながら、「あの人はウィルダを心配しているだけだから、きっと大丈夫だよ」と言っていた。 あたしの開発している新しい精霊銃、実はもうすぐ製品化ができそうな段階まで来ている。そんなタイミングで新聞の取材が入った。 あたしは研究員を代表して、今回の商品の特徴や開発の意図を述べる。新聞社の人は興味深くあたしの話を聞きながら、「ウィルダさんはフェミニストですね」と言った。 正直なところ、あたし、自分をフェミニストだと思ったことなんか一度も無い。 ただ、あたし、世界的な発明をしてしまって下手に有名になったせいで、とても生きづらいの。だから、その生きづらさを発明で少しずつ解消したいだけ。 月の(ライト)だってそう。夜暗いと女性は危ないから、それを解消するための発明だった。あたしが、誘拐されそうになるのはいつも暗くなり始めた時間からだったから。 精霊銃は、狩猟の女神様の加護があるあたしが、男性と同じように狩りをしてみたいと思って発明したのが発端。精霊の力で銃が打てれば、衝撃が自分に来ない。結局、女が狩猟なんてとお父様に大反対されて、1回きりで禁止になった。 次は拳銃を商品として出すわけだけれど、私みたいに護身のためにこれを欲しがる人はきっとどこかにいる。ただ、犯罪に使われてしまう可能性もあるから、販売方法なんかは少し工夫が要るんじゃないかな、なんて思う。 この新聞の記事が出たら、どこかにいるアルの目にも止まるんだろうか。
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