これが恋なら?

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お姉様はそう言うと、使用人に二人分の紅茶をお願いしていた。どうやら、この席であたしと長い事話すつもりらしい。捕まっちゃったわね……。 「人生ぐらいって簡単に言うけど、好きな人に裏切られたら立ち直れなくなりそう。怖いわ」 「大丈夫よ。期待しなければ大して裏切られたりもしないから」 「だって、お姉様はその結果でここにいるんでしょう?」 「うーん、何て言うのかしら。期待はしていないけど、お互い努力や思いやりは必要なのよ。それを、あの人に分からせるためにとった手段がコレなわけ」 紅茶が運ばれてきて、あたしとお姉様の前に置かれる。あたしはそれを手に取って、ティーカップを持ち上げたまま会話をした。 「じゃあ、結婚したことは後悔していないの?」 「後悔したことが無かったわけじゃないけど、今はしてないわ」 お姉様は紅茶を一口飲んで、ニッコリ笑う。まあ、お義兄様はとても良い人そうだから、それなりに上手く行っているのかしらね。 「そんなに気になるなら、探偵でも雇えばいいじゃない。ウィルダがそんな風にウジウジしているのは面白いけど、柄じゃないわよ?」 お姉様が何てことないように言う。そりゃまあ、探偵に探らせたらアルのことは簡単に分かるかもしれないけど、でも、どうせならアルの口から彼の素性を聞きたいのよ。 「止めておくわ。次に会う約束をしているから、その時に貴族なのかと、あたしを何番目の奥さんにしてくれようとしたのか、聞いてみる」 「そう。ああ……その結果が聞けないなんて残念。いつ会うの? その次の日にまた実家に入り浸ろうかしら」
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