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「……じゃあ、お願いがあるわ。昼間に会うのが難しいのなら、少しの間、手紙でやり取りしましょ? あなたの言葉を、もっと知りたい。そして、心から納得して……あなたと一緒になりたい」
「文通?」
「それ以外に方法があるかしら? 文通にこだわっているわけじゃないけど」
「そうか。文通をすればウィルダが私のものになってくれるなら、お安い御用だ」
アルの甘い顔に、あたしの心が飛び跳ねた。
どうしてそこまであたしなんだろう。好きな人に夫婦になりたいと言われて、嬉しくないわけがない。
「じゃあ、早速明日から手紙を送って?」
あたしはねだるようにアルにしがみついて言った。
さっきの話を聞いてしまったから、ここで夫婦の誓いをしても良いかもしれないと妥協しそうになったけど……。
やっぱりこういうことは急いではダメかなって思うから、一ケ月後くらいがちょうどいい。
「構わないよ、ウィルダ」
アルがそう言って、また甘い顔になって……顔が近付く。
自然に目を閉じて受け入れると、アルの気持ちがあたしに流れ込んでくるような感覚がする。
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