アルの使い

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アルの使い

新月の次の日、あたしはお昼過ぎまで眠っていた。何かの気配を感じて、ふと目を覚ます。 窓を見ると、綺麗な鳥が窓をコツコツとつついていた。 「あら? どうしたの?」 その鳥はエメラルドグリーンの羽をして、長い尾を揺らして飛んでいた。足に……手紙が括られている。 「アルの、お使いの子?」 あたしは慌てて窓を開け、その鳥を部屋の中に入れた。 普通の鳥かと思ったけど、多分違うわ。何か、加護のようなものが付いている気がする。夜じゃないから、見えないけれど。 その鳥はあたしの部屋を一回りしてから、あたしの腕に停まった。 「手紙を届けてくれたのね?」 鳥の足に括られた手紙を外し、あたしは早速それを開く。 『愛するウィルダ』 宛名の出だしから既に甘くて、つい、「もう」って声が出た。 『新月が終わって、月はこれからまた満月に向かって行くね。 私は昔から太陽の加護しか知らなかったから、月の加護は満ち欠けで何が違うのかとかはよく分からない。 でも、月が隠れる日には君と会える。月が満ちる日には、君と語り合える日になった。』 「アル……。月はね、満ち欠けで力が変わるわけではないけれど、それぞれの精霊の力が変わったり、満月の日には生命の息吹が感じられたりするのよ」 あたしはアルの手紙を読み進めて行く。 『私は、君が女神の加護を受けるタイミングにしか、太陽神の力を使ってそちらに行けない。 実は君の住む町とは遠い場所にいる。 だけど、君の加護を利用して会えるなんて、私にとってはこの上なく幸せなことだと思う。 距離やあらゆる障害を越えて、また君に触れたい』
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