アルの使い

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読み進めて行くのがつらくなって来たわ。 あたし、さっきアルに会ったばかりなのに、もうアルが恋しい。 『ウィルダは、私の何を一番知りたがっていたんだろう。 ずっと不思議そうに私の顔を見ていたのが印象的だった。 教えられることなら何でも教えてあげたいけど、私の使命やそれにまつわることだけは、まだ言えなくて申し訳ない。 太陽のキスを込めて アル』 あたし、アルと一緒にいたとき、不思議そうな顔をしていたのね。 自分では自分の表情が見られなかったから、もしかするとアルを不安にさせていたのかしら? あたしの肩に、アルの鳥が乗っている。もしかして、返事を持って行ってくれるの? 「ちょっと、待っていてね」 あたしは紙とペンを用意した。アルに返事を書かなくちゃ。 『大好きなアル 初めてこうしてあなたとやり取りをして、自分が不思議そうな顔をしていたって知ったわ。 アルの事、実は色々知りたいの。好きな食べ物は? 得意なことは? 女の人には人気があるんでしょう? どうしてあたしなの?   あとね、一番不思議なのは……何であたしは、まだよく知らないアルのことがこんなに好きなのかしら? 考えても分からなかったから、実は考えるのを止めたの。 だって、これから夫婦になったら、いくらでも考えられるでしょう? 月夜でなくてもあなたを想っているわ  ウィルダ』 書き終えてインクが渇くのを少し待ってから、折りたたんで鳥の足に括り付けた。 「加護がある子だから大丈夫だと思うけれど、無事にアルに届けてね」
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