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「あたしは、後悔しないわ。その人のことが本当に好きなの」
「じゃあ、何を悩んでいるの?」
「実は……今度の新月の夜にこっそりあたしの部屋で誓うの。ねえ、あたしはどんな格好で、どんな様子で彼を待てばいいの?」
「ああ、なるほど。それはまあ、あなたには超難問ね」
メリーは首が捥げるんじゃないかって位に何度も激しく頷いた後、あたしに色々なことを教えてくれた。
同い年なのにメリーの話す内容はあたしにとって刺激が強かったけど、誰もが通る道だから、と言われて勇気を出すしかないのねって理解をする。
「ありがとう、メリー。あなたに打ち明けて良かったわ」
「いいえ、どういたしまして。ウィルダはいつも人と違っていて、常に頑張っていたから……私にもウィルダの役に立てることがあったなんて驚きよ」
そう言ってメリーはあたしを抱きしめてくれた。
メリーからほんのり優しい香りがする。メリーと結婚した彼は、幸せなんだろうなって、あたしにも分かる。打ち明けて、本当に良かった。
「あの、メリー。この話なんだけど……」
「ええ、大丈夫よ、誰にも言わない」
メリーは約束してくれて、そのうち彼を紹介してねとあたしを大通りまで見送ってくれた。
あたしはメリーに言われたことを反芻しながら、新しい寝衣を買いに行かなきゃ、ってドキドキしながら家路についた。
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