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がくがくと震えながら、唱える。その先の声が出ない。
どうしよう、どうしようって焦っていたら、目の前に大好きな人の姿が現れた。
「ウィルダ」
アルは、白い軍服を身に着けていた。髪は固められていて綺麗な顔が強調されている。
よく知らない勲章のようなものや、金色の飾りがついた……とても凛々しい姿。
「アル……」
あたしはアルに見惚れながら、その軍服は初めて見るわって言いたかったのに、口に出す前にアルに抱き上げられた。
「私の花嫁は、よく分かっている」
アルはそう言うと軽く唇に触れて、離れた途端にまた深く触れた。
「この服……変じゃないかしら?」
「今までで一番、素敵だ」
そう言って微笑んだアルは、あたしをベッドの上に座らせて、その横に跪いた。
「太陽神に誓う。私の生涯をウィルダに捧げ、夫として深く愛し、誠実に添う。どんな日も、どんな時も、彼女だけを私の妻とする」
アルが誓うと、新しい太陽神の加護がアルの背に宿ったのを感じる。
「月の女神様に誓います。私の生涯をアルに捧げ、妻として深く愛し、誠実に添い遂げます。どんな日も、どんな時も、アルの傍に」
あたしはベッドの上からアルを見つめて誓う。月の女神様の加護で、身体に何か大きな力が走った。
「アル……あたしたち、神様に認められてしまったわ」
誓った後、切なさがちょっぴりあたしを襲ったけど、やっぱり嬉しくてアルを見つめる。
「泣いているのか?」
新月の夜だというのにお見通しだった。アルには、隠し事は出来ないかもしれない。
「色々な感情が襲ってくるの。あなたのことが好きなのに、おかしいでしょ?」
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