点と線

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あたし、平民だけどこんな扱いをされたのは誘拐の時以来だわ。荷馬車が揺れる度、身体のあちこちが痛くて顔を歪める。そもそも、人を荷台に転がせて運ぶなんてどうかしてる。 ねえ、アル……、あたし、あなたと夫婦の誓いをしただけよ。どうして罪人扱いなの? 馬車は何時間走ったか分からない。 身体中痛くて、早くこの拷問が終わってくれないかしらと、何十回も思ってから目的地に到着した。 荷台から降ろされると、そこはお城みたいだった。 まだ一度も入ったことのないお城の中に、あたしは拘束された状態で足を踏み入れている。 荷台に転がされたせいで、髪もボサボサ、服も薄汚れている。 仮にもあたしはクリオス社の社長令嬢だっていうのに、こんなのあんまりだわ。 そのまま歩かされて、拘束されたまま地下に降りる階段をずっと歩く。 嫌な予感しかしない。お城で地下なんて、ろくなものが待っていない気がする。 湿った暗い地下に、鉄格子を開いてあたしは中に入れられた。 手枷で上から鎖でつながれ、両手を挙げた姿勢。地味に辛い。 「いつまで、こうしていなきゃいけないのかしら?」 あたしに鎖を付けた衛兵に尋ねたけど、何も言葉を発しない。 人間扱いじゃないのね、と思ったら、余計に悔しさがあたしを襲う。 暫くそのままの姿勢でいたら、中年の衛兵があたしの牢の前に来た。 「どうして、こんな愚かなことをしたんだ……。世界的発明家の名声を捨てるようなことだったのか……?」 「……何にも知らないで、勝手なことを言わないで」 どういう話になって、あたしはこんな目に遭っているのか分からない。 愚かなことっていうのは、つまりアルと夫婦の誓いをしたこと? 「アルは……アルバート王子はどうしているの?」 「お嬢さんに言えることは何もない」
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