146人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょっと恥ずかしかったからつい小声になってしまう。
あたしがさっき地下牢から出られたのは、誓いなのか、その後の行為なのか、どっちかだと思うんだけど。
「まあ、そうでしょうね」
「当然みたいに言わないで」
「殿下を夫として受け入れたんですよね?」
「……ま、まあ……」
「でしたら、太陽神の加護が……」
「……」
えー……。
もしかして、加護って……夫婦の営み的なことで相手の加護の力が付いたりするわけ……?
やだー……なんか、恥ずかしすぎないかしらその仕様……。
「ですから、王家は比較的近親婚が続いた時期があるんですよ」
「こっわ」
「殿下の方も、あなたの加護が加わって凶悪な能力が備わっているはずです」
「凶悪って言わないで」
あたしの加護をなんだと思ってるのかしら。失礼ね。
「月の女神の加護がある方は、能力が高いと有名なんですよ」
「……そうなの?」
「現にあなたは、13歳で世界的な発明家になっている。充分な証拠でしょう」
もしかして、アルはそれで……。
「ノーヴァ、ついでに教えて欲しいんだけど。アルは月の女神の加護持ちとして、あたしを探していたの?」
あたしはその質問をしながら、いよいよ城門が見えてきたことに緊張していた。
こんなタイミングでする話じゃなかったけど、気になって仕方がない。
「勿論、最初はそれで花嫁様にご興味を持たれたのは違いありません。その後は、普通に恋に落ちられたのだと」
「そっか。じゃあ……あたし、加護持ちで良かったわね」
城門の衛兵は、ノーヴァが外に出るのを許すはずがない。
さあ、ここを突破するのはどうしたものかしら。
あと、ノーヴァ、自分の姿はなんで変えないわけ?
あたしは覚悟して精霊銃を構えたけど、ノーヴァがその銃口を手で押さえた。
「お任せください」
最初のコメントを投稿しよう!