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母方の祖父の話
母方の祖父母は私が生まれる前に亡くなっていたので、顔を見たことはない。
母曰わく、祖父は佐田啓二に似たハンサムで、祖母は若い頃の山田五十鈴に似ていたそうだ。佐田啓二が誰かと尋ねると、中井貴一と中井貴恵の父親だと答えた。
祖父は地元の豪族の出だったが、曽祖父がお人好しで知人の借金の保証人を次から次へと引受けたため、土地財産を失い零落していた。
やがて、知人らは蒸発してしまい、それっきり音沙汰なくなってしまった。以来「借金の保証人にはなるな、なるくらいなら、工面できる額をくれてやれ」が家訓となった。
祖父はその後、製糖会社の技術者となり、台灣に渡った。証文は日本を離れる際に焼き捨ててしまったとのことだ。
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