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決ーめたっ!
「店〜長〜!着きましたよ〜!えーっと、鍵は?」
ぐでんと僕に寄り掛かっているソレに声を掛けるが反応はない。
「だよねぇ。ここに捨てといたら……ダメかなぁ。あーもう、勝手に漁りますよっと」
僕はパッと手を離してその場に捨てると、一度体を起こしてゴキッと首を鳴らした。
ゴンッと頭を壁にぶつけても、店長はちょっと眉を寄せるくらいで何かうわ言のように口だけを動かすのみ。
「本当、酒弱かったんだねぇ」
笑いながら、いつも店長が脇に抱えている黒革のバックを迷うことなくを開けて中を探った。財布、スマホ、小さな手帳、木彫りのキーホルダーが付いた鍵。
「これは店のじゃん。どこ?」
雑に戻して更に探ると、何も付いていないシンプルな鍵を見つけた。
「おーい!店長!これ?」
ペチペチと頬を叩いてみても、むにゃと口を動かすだけ。
「いい大人が……本当、面倒」
ため息を吐いてその鍵を試してみると、ドアはすんなり開いた。
とりあえず鍵をバックに戻してドアの内に放り投げる。
「ほら、立って。くっそ重いんだから」
僕の肩に片腕をかけて僕より約30cmもデカいその巨体を持ち上げた。
足を引きずってるとか、あちこちぶつけてるとか知らない。家まで運んでやっただけマシでしょ?
僕としてはそのまま店に置いといてもよかったんだから。
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