ある夏、18:05

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ある夏、18:05

 夏だ。じめじめとした空気がまとわりついて、まるでサウナだ。鬱陶しい蝉の声に眉をひそめながら帰路につく。 今日はカレーにでもしよう、とそんなことを考えながらスーパーに立ち寄る。自動ドアを抜ければエアコンの風が汗ばんだ身体を冷やしてくれる。ああ、文明の利器って素晴らしい。  最近、この地球の気候はまるでバグってしまったかのように感じる。8月の平均気温は1800年代から4℃も上昇している。こう言うとそうでもないように聴こえるかもしれないが、氷河期から現在の平均気温の差は6.5℃ほどらしい。氷河期だよ? あのマンモスとかがいた時代だよ?  いや、やばくないか地球。  ヒーローでもないのに、早急に地球温暖化を防止しなきゃならないとちっぽけな使命感に駆られている私は、毎日持参しているエコバッグに夕食の材料を詰めこむ。  そうして、スーパーを出ようとしたとき。 「え」  最悪だ。自動ドアを抜ければそこは、ドバドバと天から降り注ぐ雨粒。ごろごろと鳴るゼウスの(いかづち)。  夕立――……通称、ゲリラ豪雨。  今日は傘を持ってきてない。このまま濡れて帰るか、それとも雨宿りするか。
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