ある夏、18:05

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 じっと空を睨み続けていても、空は流す涙を止めてくれない。  くそ、情緒不安定か。夏空というのはまったく、メンヘラで困るったらありゃしない。さっきまで上機嫌だったじゃないか。ギラギラと直射日光を放つ鬱陶しい太陽を「見て♡」と言わんばかりに真っ青に晴れていたくせに。  あれか? 空は太陽と付き合ってんのか? だから夕方になるとこんなに雨が降るのか? 太陽が沈んでしまうから?  リア充爆発しろ。12時間後にはお前らまた逢えるじゃねーか。  時計に目をやる。時間は18時を少し過ぎたところ、お腹もすいてきている。夜は隣に住んでいる友達と明後日提出のレポートを仕上げる予定もあるし、できれば早く帰りたいところだ。  仕方がない、その涙をこの身に受けてやるとするか。  そう思った私が土砂降りの中に一歩を踏み出そうとした、刹那。 「あの」
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