ある夏、18:05

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 そう答えようとした時、翡翠くんの足が私の家の方向から右に逸れる。ぶれた傘からパタッと雫が落ちてきて、「ひゃ」と声を上げてしまった。 「あ、ごめん、いつものくせで曲がろうとしちゃった」 「翡翠くん家こっちなの?」 「うん、あれ」  20mほど先に見えるのは、お洒落なアパートだった。学生寮のうちとは全然違う。 「えっ、じゃあここまででいいよ」 「えーいいよ、最後まで送る」 「ほんとに、大丈夫だから」 「……じゃあさ、この傘貸すから、もってって?」  そう言って押し付けられた傘、ハッとした時にはもう翡翠くんは駆けだしていた。 「紗希ちゃん、またねー!」  雨の中、手を振って走っていく翡翠くんの後ろ姿は、やっぱり死ぬほどイケメンだった。
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