ある夏、20:00

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「え? 私の見れば?」 「二冊あった方がいいでしょ。隣に取りに行くだけだし」 「それもそっか。こういうときマジで隣が美香で良かったと思うわ」 「そっくりそのまま返す」  男らしい言葉を吐いて、美香は廊下に出る。家を出て行ったと思いきや、1分もたたないうちにそのドアがまた開く。 「ただいまー」 「カフェオレはいったよー」  教科書を抱えた美香にカフェオレを差し出す。 「私達付き合ってるみたいだよねー」 「いや実際ほぼ一緒にいるしね。どーするよ彼氏できたら。今みたいに一緒にレポートとかできなくなるんじゃない?」  美香が笑いながらそんなことを言ってくる。 「かれしぃ? 出来る訳ないってこんな研究室こもりっぱなしの女に」 「だよねー!」  けらけらと笑いながら実験をして、課題にいそしむ、これが私達。  うん、充分私達も“リア充”だ。悪くない。
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