夕立は何故、「夕立」か?

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1  ふーん……。成る程ね。皆、そういう内容の話をするんだね。伊佐里(いさり)クンの話も、乃木ちゃんと宇野ちゃんが交代で話してくれた物語も、黒岩クンと月白ちゃんが交代で話してくれたお話も凄く面白かったよ。  やっぱり、来て良かったよ。九条先生に急に呼び出されて、「折角の夏休みだし、ゼミ生の皆で集まって百物語大会をやろう!」って言われた時は驚いたけどさ。ご丁寧に空き教室に蝋燭なんて並べちゃって……。でも、流石に本当に百本は無いか。ちゃんと、ゼミ生の人数分の本数だね。  でも、あれだね。もう少し、おどろおどろしい怪談話が出てくるかと思ったら、意外と「ちょっと不思議な物語」みたいな内容のお話が殆どだったね。伊佐里クンのは幽霊は出てきたけど「ちょっと良い話」って感じだったし。乃木・宇野チームは……ってか、百物語ってチーム制がアリとか初めて知ったんだけど! まぁ、スポーツみたいに特にルールがある訳じゃないからね。それは別にいいや。だけど、あの話はお化けも出てこないし、惚気かよ!って思っちゃったよ。二人の馴れ初めのお話だったね。でも、面白かったし、暗闇に取り残される恐怖みたいなのは確かに怖いよね~。今のところ、ダントツで怖かったのは黒岩・月白ペアだけど。ってか、月白ちゃん。本当にそんな病気に罹ってるの? ……へぇ、実話なんだ! 凄い! そっかぁ、成る程ね。  え? 何ですか? 九条先生。何? 早く話せって? あぁ、もう、せっかちだなぁ。分かりましたよ。でも、折角だし。もう少しだけ、前置きの時間をくださいね。  皆さんの用意してきたお話と違って、私がこれから話すのはそんなに大した内容じゃないです。だから、つまらなくても文句言わないでね。でも、皆の話と比較すると、ちょっと怪談っぽさはあります。最初に言っちゃうと、このお話は幽霊とか出る系なんで……。  じゃ、(わたくし)、奨学院大学四回生・九条ゼミ幹事の須勢理璃智流(すせりりちる)が次のお話を担当させて頂きます!
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