<7月20日>二人だけの時間を過ごす

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<7月20日>二人だけの時間を過ごす

☆七海☆今日、千宙君から静岡に来たと電話があって、急な事にびっくりした。私は急いで支度をして静岡駅に向かうと、彼が立っていて夢ではないかと目を疑った。5月に再会してから東京で会ったのは二度しかなく、退屈な夏休みを実家で過ごしていた私は喜びを隠せなかった。その場で抱き付きたい気持ちを我慢して、カフェで涼みながら話をした。その日に帰るという彼と別れ難く、私の家に泊まるように説得した。都合が良い事に両親は親戚の家に行っていて留守で、家には弟の寿朗(としろう)がいるだけだった。彼が喜んでくれたので、家へと連れ帰った。  弟には「姉ちゃんが男を連れて来た」と騒がれたが、千宙君とは男同士で気が合ったらしく、すっかり打ち解けていた。弟も入れて夜中の12時過ぎまで遊んでから、千宙君と一緒にお布団を敷いた。じゃれ合っている内に、中学の時の林間学校で彼のベッドに(もぐ)り込み、しがみ付いた事を思い出した。男の子と体を密着させたのは初めてで、その時のときめきがよみがえっていた。  夜中になって眠れず、彼の寝ている部屋にこっそりと行った。彼も眠れずにいて、布団に寝転がって話をしていたが、話が途切れて数分の沈黙が訪れた。すると彼が、「七海が好きだ!ずっと好きだった!キスしてもいいかな?」とつぶやいた。私は照れ隠しもあり、「やっと好きだと言ってくれた。キスの同意は求めなくても良いからね!」と言って、目を閉じてキスを待った。仰向けになったままの私の上に(おお)(かぶ)さるようにして、彼の唇が私の唇に重なった。出会ってから4年の歳月を経て、二人にとっての初めてのキスだった。今までの分を取り戻すかのように、いつまでも唇をむさぼり合った。そして、抱き合ったまま朝を迎えた。というより、私をしっかりと抱き締め、私の胸には彼の手が置かれていて身動きができなかった。離れるのが名残惜しい気がしたが、弟に知れない内にと思ってそっと起き上がり、自分の部屋に戻った。体が火照(ほて)り、興奮している自分が分かった。☆☆☆  七海と千宙は中学の時に別れた切りで、彼女が東京の大学に入学して再会を果たした。空白の高校時代には、二人ともそれなりの恋愛を経験していた。七海は大学生の紺野(こんの)来人(らいと)にファーストキスを奪われ、千宙は女子大生の夏目(なつめ)和葉(かずは)と初体験を済ませ、さらに後輩の椿原(つばきはら)六花(りっか)ともセックスをしていた。  二人が別れた時の約束は、『再会した時に、お互いに恋人がいなければ付き合おう』というものだった。晴れて付き合い出したものの、千宙はバイトに忙しくて中々思うように進展しなかった。 ★千宙★いきなり静岡に行って、七海を驚かそうと思った。5月に再会した七海は中学の時とは別人のようで、背も伸びて小さかったおっぱいも(ふく)らみ、下半身にも肉が付いて大人の女になっていた。会いたくてもバイトが忙しく、夏休み前にはちょっとした口げんかになり、それもあって静岡まで会いにやって来た。★★★  七海の家に泊まる事になった千宙は、本当はうれしくて仕方なかった。弟の高1になる寿朗がいたが、意気投合して三人でゲームをしたり、話をしたりして夜中まで過ごした。二人でじゃれ合いながら布団を敷き、七海は自分の部屋に戻った。 ★千宙★七海と一緒に布団を敷いている時、「一緒に寝る?」と冗談で言うと、彼女は真っ赤になって枕を投げつけてきた。可愛いと思って押し倒そうとしたが、さすがにそれはできなかった。彼女が(かが)んだ時に、キャミソールの隙間(すきま)からのぞいたおっぱいの谷間が目に焼き付いていた。★★★  千宙は悶々(もんもん)として眠れず、七海も歯がゆい思いのままに彼の寝ている部屋に引き返した。「ねぇ、もう寝た?わたし、眠れなくて…。」とこっそりと声を掛けたが、返事がなかったのであきらめて戻ろうとすると、後ろから抱き戻された。 ★千宙★七海の唇はふっくらとして柔らかく、マシュマロのようだった。仰向けの彼女の上に覆い被さるようにしてキスをしていたが、体は密着させないように気を配っていた。俺が勃起(ぼっき)しているのを、彼女に知られるのが恥ずかしかったからだ。七海はキスの経験があるような事を言っていたが、口は閉ざしたままで吸う事もせず幼くて受身だった。俺が舌を()し込むと驚いて顔を(そむ)けようとしたので、「舌を吸って!舌を(から)めて!」と教えると、彼女は()み込みが早く、自分から舌を絡めて俺を誘ってきた。二人の唾液が絡み合い、七海の興奮が伝わってきた。★★★ そうして二人は1時間近くキスをし合い、「好きだ!」と甘い言葉をささやき合いながら眠りに就いていた。一度目を覚ました千宙は、彼女が眠っているのを良い事に、胸の膨らみに手を伸ばして感触を楽しんでいた。
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