0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「お母さん、まだ熱いよぉ」
「坊や、ちゃんとフーフーした?」
「もうずうっとしてるけど、全然冷めないんだ」
「私たちは猫舌だから、いやあねぇ」
「すっごく美味しそうなスープなのにね」
「そうかしら。体に悪そうなのもチラホラ見えるけど」
「でも、少しでいいから飲んでみたいなあ」
ジュルル……
「あら坊や、ヨダレが落ちちゃったわよ」
「だって、本当に美味しそうなんだもん」
「そうねえ……もうちょっとしてから、また来る?」
「もう3回目だよ。待っても待っても熱くなるばっかりだよ」
「スープの熱がこもる一方なのね」
「どうしよう」
「じゃあ温度が低くなるまで、もう少し待ちましょう」
「あとどのくらい待つの?」
「そうねえ、
あと100年ぐらいかしらね」
「温度が下がってるといいね」
そう言うと、巨大宇宙人の親子は地球をのぞき込んで暗い影を落とした。
(次の章へ)
最初のコメントを投稿しよう!