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#09 浪人生活と二番目の彼
大学入試に再チャレンジする、と決めた私は、同様に浪人すると決めた友人たちが予備校に入学する、という話を聞きながらも、宅浪することになった。そんな余裕のある家ではないから、当然といえば当然だった。
当時、ラジオ講座と自分が持っている参考書と教科書などを復習するも、模試の成績は上がらなかった。このままだと、今年度も合格できそうにない、と悟った私は、姉と相談して、近所の予備校の門をたたいた。入学金は安くなかったけど、姉が出してくれてどうにか予備校に入ることができた。それからは、成績も伸び始めて、どうにか受験へと挑めそうになっていった。
一方、高校卒業を間近に控えたころから、なぜだかやたらモテ始めたというか、2か月で3人に告白されるという異常事態が発生した。二人は、2年生の時に同じクラスだった子で、もう一人は3年の時に同じクラスだった子だった。
そのうちの一人と交際することになったが、正直、どちらかというと友情に毛が生えたぐらいの好きだったと思う。お互いに浪人していたため、会うのはせいぜい1~2か月に1回ほどで、いつも二人でハイキングや川のほとりをひたすら歩いて帰ってくる、というデートだった。彼は、本当に何もしてこない人で、付き合って1年ほどはキスすらもしないようなプラトニック?な関係だった。
でも、この時も、この彼と結婚するという未来は全く考えられなくて、仮に行為をしたい、といわれても断っただろうと思う。
月日は過ぎ去り、受験の季節になって、彼とは思うようには会えなくなった分、勉強を頑張った。父や母のようにはなりたくない。まっとうな人間になるんだ、と歯を食いしばりながら。英語は、英文科を目指す子よりもいい成績を取れるようになり、地学も、センター試験の自己採点では1問だけ間違っただけぐらい、正確に問題を解けるようになっていた。センター試験を終えてからは、長丁場の試験時間に備えて、生活に必要な時間以外は、ずっと二次試験対策の勉強をつづけた。多分、一日12時間は勉強していただろう。その甲斐あってか、私は親から提示された地元の国公立大学に進学することになった。一方彼の方は国公立が全滅で、滑り止めの大学に通うことになった。
こうして、念願かなって大学に進学することになった私は、ここで運命の出会いをすることになるとは知るはずもなかったのだった。
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