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「そんで次は看守の目をどう掻い潜るか。」
ウォルスは語り口調で説明する。
「俺の調べによれば総勢100人以上!階段で繋がっているのみの作りだから下層になればなるほど
看守の目は厳しくなる。」
そう、階段を利用すれば一番上の階層までは
一気に駆け上がる事が出来るが、
逆に正規には階段しか上る方法は無い為、
そこの見張りは特に厳重だった。
「5階層上を目指すとなると相当隠れながら行くのは難しいわな〜。」
看守を隠したルーホーは
まず
この階層にあるはずの"ダクトシュート"を探す。
ダクトシュートとは空気を循環させる為の穴。
「だいたいこういう施設にはダクトシュートがあるよね。」
ルーホーはダクトの入口を見つけるとガタガタと蓋を開け、中にあるプロペラを外す。
「一応もう一つダクトシュートを登って脱出する方法もあると言えばあるんだが、、、」
ダクトがあればそこは空気の抜け穴。
どこか施設の外へ抜けている事は自然だった。
だがウォルスの糸電話ではダクトシュートの位置までは
把握する事が出来ない。
ここは雲の上の施設。空気の抜け穴が雲の外へ突き抜けてる場合もあり、
そうなれば
高い高度から地上まで真っ逆さま。
計画としてはかなり不確定な要素が含まれた。
しかし、ルーホーがダクトを外している間、
ウォルスは手に握ったものを
なにやらコネコネ捏ねている。
「ねぇ、ウォルスって雲を作れたりしない?」
ルーホーが考え出したのは無いのであれば作り出す事。
「そりゃ親が雲職人だから雲の扱いは任せとけ。」
では、無い所からどのように作り出すか。
《雲》
雲は温かい空気と冷たい空気の衝突で生まれる。
お湯で温めた暖気と床で冷やされた冷気。
それを衝突させる事で
気温差で温かく発生した蒸気が
さらに冷やされ固まり雲となる。
つまりは貰った桶のお湯。
それで雲まで作りあげた。
桶に少量のお湯。それだけを手に入れただけで
2つの事を成し遂げる。
それはあらゆる知識を得たルーホーと
物を作り出せるウォルス。
その二人だから成し得た事だった。
それでネリネリ作り上げているのは、
なんと!お面。
作った雲をまず、看守の顔に押し付け型を取る。
その型に今度は少し濃度の変えた雲を入れる事で
その看守そっくりのお面を作りだす。
雲は色々形が変わるもの。
雲職人はその形を自在に作る事が出来る。
フェイスパックのように薄く作り上げたその
お面を顔に付けて、
看守が着ている服と、ネームプレートを拝借して、
「よし!行くぞ!」
この騒ぎに便乗して
階段を堂々と上りきる!
100人居る看守達も、それぞれに隅々まで
" 囚人"を探すのに必死。
ある看守がダクトが開いているのに気付き
注意はさらにダクトに向く。
ダクトに向く事で階段への注意はおろそかになる。
もちろん登ってくる看守に気付いた所で
それは看守。チラッと確認するのみ。
ダクトを開けた事はもう一つ。
蜃気楼で隠してある看守の発見を遅らせる
方法でもあった。
最下層のダクトが開いている。
ダクトから脱出。
その階には囚人はいない為、見向きもしなくなる。
着実に出口へ向け、進む二人。
出口にはもう一つ関門があった。
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