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「おい!お前ら!持ち場はどうした!!?」
パンデモニウムの入口には身体検査があった。
囚人はもちろん、面会に来るものも、
一度ここで身体検査を行われる。
「はい!囚人の脱走の為、入口の警備を強化しろと仰せ使われまして!」
ルーホーが何の迷いもなく軽快に答える。
看守達はジロッとルーホー達の姿を上から下まで
確認すると、
「よし!行ってよし!」
ネームプレートと本人が一致した為、
疑うことなくそのまま通した。
「は!外に怪しい者が居ましたら、すぐに報告いたします!」
外から来る囚人や部外者は警戒しても
中から来る身内、看守には警戒しない。
素晴らしく理に適った計画だった。
そうして外まで出た二人。
この脱出劇はパンデモニウム史上初の
脱獄。
後に
『10オンス(桶の水の量)の抜け穴』
として、監獄内で伝説となる。
二人は外に出てすぐに圧倒的な壁に遭遇する。
「そして、最後は風の障壁。こここそがパンデモニウムが難攻不落と言われる由縁だわな。」
分かってはいたものの凄まじい威圧感で
そこに存在する竜巻に、二人は息を飲む。
上を見上げると果てしなく続く壁。
一度触れれば恐らく成層圏を超え
宇宙まで吹き飛ばされる。
いくら風を操れる風職人でも、
竜巻は自律型の風。
他の風の流れを無視して跳ね返す。
風職人にとって驚異の存在だった。
「風の障壁をどう突破するか、、、」
計画を練る二人もその壁にぶち当たる。
「竜巻の仕組みは、、、」
「外からの力では、、、」
「竜巻の風の質量が、、、」
色々考えてはみるが中々決定打に欠ける。
「周りの雲をどうにか、、、」
そう、考えた事でルーホーに一つの妙案が浮かぶ。
「ウォルスの研究って確か、雲を破壊する事だったよね。」
「おい!!貴様ら!!」
看守達が入口から駆け寄る。
その様相から容易にすでに正体がバレたと
分かる。
「もう、バレたか!思ったより早かったな。」
蜃気楼が晴れ、看守が見つかり、
そこからの連絡網の速さ。
流石最強の監獄といえた。
「ウォルス!もういくよ!準備はいい!?」
ルーホーは急いで構える。
ゾロゾロと入口から看守が湧き、
ルーホー達の元へ駆けてくる。
「ああ!いくぜ!!」
そう、言うとウォルスは二人を囲むかのように
指で地面に円を描く。
ウォルスが大学で学んだ研究。
雲の破壊。
雲を壊すメカニズムで丸く雲をくり抜き、
「上が駄目なら!!!」
ルーホーが思い切り真上へジェットのように
風を吹かせる。
「下だぁぁぁぁ!!!」
ウォルスがそれに合せて下の
地面の雲を
コンと叩く。
すると、、、
ポン!と栓がぬけるかのように
下に抜けた雲。
その上に乗り、
ジェットの勢いで真下に下降する二人を乗せた雲。
上のマンホールのように空いた雲からは
大勢の看守が覗き込む。
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