【別れとであい】

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「ルーホー。何で君は人間世界の勉強をしてるんだい?」 学生時代。 ブルーに出会う前からルーホーは人間の世界について調べていた。 学業ではトップとはいえ 風職人になるにはまだまだ覚えることが沢山。 だいたいの空の人々は風職人になりたくて勉強しているので そんな余分な事をするのに アモストフィアは理解が出来なかった。 「だって、僕らが守っている街について知りたいじらゃないか。」 几帳面で全てを完璧にしたい。  その興味は人間世界へも向いていた。 しかし調べだすと知的好奇心が止まらない。 「調べると天上と地上って関係があるんだ〜 色んな文献に地上の事が記されてるし」 「地上には山とか川とかあるんだって〜」 「この童話なんて面白いんだよ!天上人と地上人の恋の話。」 「空の管理が始まったのは一人の女のコの為なんだよ!ロマンチックだよね〜」 溢れ出す地上への思い。 それが地上を見るきっかけとなり、 ブルーとの出会いに繋がったんだ 今思えばそう想う。 「僕に考えがあるんです。聞いて貰えますか?」 男達に近づくルーホー。 しかし、線の細いルーホーは男達にとっては どう見ても力不足。 その中でもより、体格のいい男が前に出て ルーホーに告げる。 「俺たちが何度やっても出来ない事を お前は出来ると言うのか!?」 近くに寄るとかなりの体躯の男。  その威圧に気圧されるが、 それでも『僕が何とかしなきゃ』と、 気を奮い立たせ男に立ち向かう。 男の前に堂々と立つルーホー。 大きく深呼吸をするとキッ!と、睨みつけるように 男を見る。 するとルーホーの背後から風が吹き荒れ、 男の身体に吹き付ける。 男は「おっと」と、よろめきながら目に入る風を 避けるようにおでこに手をやる。 風の向こうの線の細い少年はこの風の中 堂々と立っている。 まるでこの少年から吹いてくるかのようだ。 「僕、力には自信があるんです!ただ、皆さんにも協力して頂きたくて、、、。」 真剣に話す少年。 その力強い眼力とこの風の力。 そこに男らしさを感じた男は、 ルーホーに不思議な力を感じ協力する事を決めた。 「よし!!その話。聞かせて貰おう!!」 ルーホーはふぅ!っと緊張を解き、 ニコッと笑い掛けた。
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