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「ヤバいって!ルーホー!南の地方からめっちゃデカい低気圧が流れ込んできている!!」
同じ風大学出身で
今は風職人の見習いをしている"アトモスフィア"がまだ家に居るルーホーを急いで呼びに来る。
急いで仕事場までやって来たルーホーは慌てて
ハントの瞳を覗き込む。
いつものどかな街の人々がその異変に慌ただしく動きまわっている。
南の地方から低気圧がやってくるのは
珍しい事ではない。
むしろ毎年のようにこの季節になると
必ず起こる行事のようなものだ。
しかし、今年は違った。
台風のような強い暴風。
吹き付ける雨。
数十年に一度の最強低気圧というやつだ。
「2つの大きく発達した低気圧が集中して流れ込んだらしい。」
アトモスフィアが上司から聞いた情報を伝える。
「どうにかしないと、、、!!」
「ダメなんだルーホー!」
吹き荒れる風を何とかしようと試みるルーホーを
アトモスフィアは急いで止めた。
実は風職人の仕事には大きな掟がある。
《むやみに風の流れや強さを変えてはならない》
風職人は『風を管理する仕事。』
定められた一定の数値で常に保つ事。
つまり警備員のような仕事だ。
今回の場合、事故で災害が起きたのでは無かった。
この時期例年やってくる低気圧が
偶然重なっただけ。
他の地域は一切狂いなく定められた数値でバランスを保っている。
流れを変えればルーホーの街は救えても
他の街に被害が出る事は必然だった。
「そんな、、、」
街の管理者に何の非もない。責められるわけでもない。仕方ない事。
しかしルーホーはどうしてもブルーの事が気になり
ハントの瞳を覗き込み、様子を見てみる。
いつもはまだこの時間についている
ブルーの家の部屋の灯りはついていない、、、。
ブルーがいつも買い物をする馴染みの市場
も、、、今日は雨の影響で閉まっている。
父を迎える漁港、、、
停泊している船が荒波で今にも流されそうな
船着き場。
吹き荒れる雨で全く傘が意味が無いほどのびしょ濡れの姿で
海を見つめるブルーの姿がそこにあった。
ブルーはいつも笑顔だった。
母を幼い頃に病気で無くし
男で一つで育てられた。
父は海の男で男臭く、
不器用で
上手く家事などをこなせなくても
それでも
「ガハハハハ!すまねぇ」
と、笑いながら全力でブルーを育ててくれた。
父の仲間達も
家族のように大切にしてくれた。
市場の人達も気さくに話しかけてくれ
笑顔に溢れ
寂しい思いをせずに過ごしてこれた。
そのブルーの笑顔がみんなのパワーにもなっていた。
ルーホーもその一人。
彼女の笑顔。それが一番のお気に入りだった。
しかし、海を見つめるブルーの顔には笑顔は無かった。
瞳をには不安を携えていた。
「、、、まさか!!」
父を待つ船着き場で海を眺めている。
その事柄が指すのは一つしか無かった。
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