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「ブルー、、、」
街への気候変動による
川の氾濫がルーホーをさらなる罪の意識へと誘う。
「、、、」
話を聞いていたウォルス。
ルーホーがどれだけ街を
ブルーの事を想っているか知っていただけに
ルーホーの苦しみはウォルスにも理解できた。
「何で、、、」
しかし、何も出来ない自分に
自分がしでかした事で
何も罪もないブルーを悲しませてしまっている事に
頭を抱えてしゃがみ込むルーホーに
かける言葉が見つからなかった。
何て、言葉をかけても状況が変わる訳ではない。
『お前は父を救う為に頑張ったじゃないか』
そう伝えたかった。
でも、それは逆効果に思えた。
苦しむルーホーを
ただ見つめるウォルス。
『こいつは少女の為に頑張ってきたんだ。』
『せめてそれを彼女に伝えたい。』
ウォルスは決意してルーホーに伝える。
「なぁ、ルーホー。」
「ブルーに逢いに行かないか?」
『え?』虚ろな瞳で見上げるウォルスの顔は
何かを覚悟した真剣な表情をしていた。
「ちょっと待って!!それって脱獄!!?」
ウォルスからの言葉にルーホーは思わず声が出る。
「しーっ。声がデケーって。」
糸電話の中とはいえ
大声になってしまった声が聞かれてはいないか
看守の方を確認してみるが
看守は特に動きをみせない。
「だって、それっていけない事、、、。」
今度はなぜか少し小声になってしまいながら
ヒソヒソと。
真面目なルーホーにとって
やってはいけない事を自ら進んでやった事がないだけに考えもしない発想だった。
「だって、このままだと俺ら一生牢屋だぜ!」
「それに考えてもみろ。俺らは一番悪いことをして捕まってるんだ。どう転んでも大罪人さ。」
そう言ってウォルスはいつもの通りの
楽しい語り口調で乗せてくる。
「でも、、、ここは難攻不落で有名なパンデモニウムだよ。こんなんどうやって、、、」
弱気なルーホーに喝を入れるかのように
ウォルスが後押しする。
「それは、、、後で考える!!」
「どうせ大罪人なら、悪いことをしてでも誰かを救いたい。そうだろ?」
確かに考えてもみるとすでに罪を犯している身。
このままここに居ても何も状況は変わらない。
「お前はブルーを助けたくないのか!?」
どうせ変わらないなら、
一生牢屋に居るなら、
「僕はブルーを助けたい!!」
ブルーを助けて牢屋に居よう。
彼女をまた悲しませてしまっているのは
僕なのだから。
「よし!決まりだな。」
「あわよくば俺らは自由の身だぜ〜。」
「どうせなら戻らず地上で楽しく暮らそうぜ!」
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