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やっぱり僕は熱が上がってたみたいだ。千秋が寝てる僕を運んで病院に連れていこうとして、直前で起きて車の中でムチャクチャに暴れて嫌がった。千秋が構わず引きずり出そうとするので、助けて犯されるー、と叫んで凶行を止めた。 帰りの車内はぐったりした僕の溜め息と、千秋の放つどす黒いオーラで満たされていた。苛立ちのあまり隣の車線の車にいちゃもんつける千秋を見て、よくあれで公務員なんかになれたなと思った。 だってさ、高いんだよ診察代って。保険証が無ければただのぼったくりだ。保険証を忘れた母さんが青い顔をするのを何度も見てる。 そこまで迷惑は掛けらんないよね。健気だ僕って。 車内から乱暴に出され布団に放り飛ばされてやっと一息つく。千秋は相変わらず物に当たり散らしていた。 「だからぁ~大丈夫だっつってんのに」 「あぁ!?じゃ熱とか出してんじゃねーよ!わざわざ人ん家に来てやる事がそれか?俺に迷惑かけに来たのかよ」 ちょっとショック。風邪ひいた子に言う台詞? 「…じゃ帰る」 「帰れ帰れ。次来ても入れてやんねーからな。」 「死んでも来るかバーカ」 おぼつかない足取りで玄関に向かう。泣きたいけど、泣くと頭痛くなるのは分かってるし、何より千秋の前で泣きたくない。定まらない視界のせいで上手く靴紐も結べないまま部屋を出て行く。 有り得ない寒さに震えながら、それでも火照った顔にはこの冷たい北風が心地よいくらいで、改めて自分が風邪をひいてるのを自覚する。 部屋を出てすぐに、アパートの裏へ回る。歩く事も限界だったから、ゴミ回収場の横の掃除用具置き場のようなスペースの小綺麗な一角に座り込む。体が異常に震えている。 よぅし、このまま肺炎になって死んでやる。死因は確確実に千秋だ。ざまーみろhahaha…。 俺に迷惑かけに来たのかよ 千秋の台詞が木霊する。 当たり前だバーカ ダメ男~ 地面が上にあるのか下にあるのかわからなくなって気がついたら地面が顔のすぐ側にあった。 ダメ男気づけよ 会いたかったんだよ 自分の呼吸だけが響き、僕は世界で一人きりになった気がした
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