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一人っ子の暴走
前が見えない
強烈な吐き気が僕を襲う
もう駄目だ
このまま死んでしまうのだろうか…
歪む世界に耐えきれず、僕はアパートの前でずるずると倒れ込んだ。
1
「…き…。おぃ…」
「…んん?」
声を掛けられ薄く目を開ける。薄暗い室内、感じる自分以外の気配。咄嗟に僕は身構えた。
「起きたか糞ガキ。俺は今から仕事行ってくるから机の上にある飯食っとけよ。引き出しとか開けたらぶっ殺すからな。」
「…天国のくせにダメ男に会うなんて本当に可哀想だ僕。」
「あぁ?」
「僕死んだんだよね。きっと不治の病だったんだ。あぁ薄幸の美少年」
「ホント馬鹿だなお前。ただの風邪だ。しかもピンポイントで俺ん家の前で倒れてやがったぞ。どんな嫌がらせだ。」
ダメ男と話しながらだんだん頭がはっきりしてくる。
あれ?風邪?
「じゃ行ってくる。人が来てもドアは開けるなよ。」
そう言い残して千秋は出て行った。
行ってらっしゃーいと返した後、ゆっくりと夢の国へ入っていった。
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