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2022 9.1 , 0.00
「──はあ......はあ。よし、こんなものでいいだろう。穴は元通り完全に埋めた。土の違和感が少し気になるが....まあ実際『TV局の調査』は来ないのだから充分か。だけど悠聖の奴もあんな作り話を簡単に信じるなんてガキだなぁ。
────ん?
あれ?今の音はなんだ.....え?着信10件!?
全て片付いたら電話するって言ってあるのに。梨香子ちゃんは本当に心配症だなぁ」
「.......もしもし?
もしもし梨香子ちゃん?
.........うん、もう大丈夫だよ。
...........そう。丁度今、あの二人を『蝉神の樹』の根元に埋めたとこさ。これでサトルの気狂いオヤジが俺たちを嗅ぎ回る事も無いし悠聖を違う女に奪られる事もない。もう、何も心配はいらないんだ」
「気にするなって!梨香子ちゃんは俺の大切な宝物なんだから。これからはずっと君を守る。大丈夫、あんな迷信どおりに人間が生き返るわけないって!」
「...........え?そう?俺、そんなに雰囲気変わった?あははは。それはきっと僕、いや.....
俺が大人になったからだよ。あ、アレ?ちょっと待って梨香子ちゃん。こんな大きな穴、さっきまで無かった様な気が...........」
『...........ねえ僕の蝉は.....どこにいるの』
了
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