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プロローグ
この世界には魔法がある。
色を認識。そこから想像し、魔力を乗せて現物を生み出す。
『色彩造形魔法』。それがこの世界の常識だ。
出産時に何よりも最初に行うことは魔力量調査であり、義務教育には絵画が組み込まれている。想像力が必須なこの魔法は、日常生活にも必須となっていた。魔法を応用した技術ばかりが使われており、それが無い生活は考えられない、といったところだ。
魔法以外の技術はあまり発展せず、遠くへの移動は馬車であり、医療機器だって高度な物はない。化学薬品など以ての外だ。視覚重視のこの魔法は、目に見えない物の発展をことごとく妨げた。
ある年、とてつもない魔力を持った子が生まれた。
常人の数十倍の魔力量、圧倒的な力は人々を震え上がらせる。だが、その後すぐに落胆した。
__彼は目が見えなかったのだ。
色彩造形魔法において致命的すぎる欠陥。人々はそれが分かった途端、彼を突き放した。父親ですら彼を見捨て、母と地道にささやかな暮らしをしていた。
そんな彼__ハロル・ロイツェの物語である。
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