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 そう言えば、春になったら……  瑞垣は思い出す。 「またいずれお越し下さい。次の春、ラナンキュラスが咲く頃には屹度」  旦那様が楽しみにされておりましたので、と。  小張邸からの去り際に、黒衣の男はそう云って何故か、淋しそうに笑った。  つぎの、はるには……  彼の庭の紅梅も美しく薫るのだろう。
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