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笑う男を見て、察したノエルが肩で息をひとつした。
「そろそろ街に出たいって言ってたけど、それ、彼でするつもり? アルフレッド」それから、わざとうんざりした声を出した。「家でそれをすると、後始末が大変なんだよね」
ダグの頭は今、宙に浮かぶパズルだった。ひとつピースがはまると、はまっていた別のピースが外れて落ちる。
「アルフレッド? アルフレッドは年寄りだって……」
「年寄りだよ。中身はね」
アルフレッドはそう言うと立ち上がり、ダグのどくどくと脈打つ首筋を細い指でついっと撫でた。その冷たい指が、何か言いかけたダグの口を凍らせた。
「ノエル。君はどうする?」
ノエルは買い物袋をよいしょ、と持ち直した。
「ダグ、ね。……僕は、いらない。まあ、どうしても我慢できなくなったら、あとでグラス一杯分、もらう」
ダグは唾をごくりと飲んだ。
「……ノエル。何の話をしてるんだよ」
ノエルが肩をすくめた。「これ、先に冷蔵庫にしまってくる」
扉が悲鳴に似た音を立てて閉まった。
ダグのパズルのピースがひとつ、はまった。
……たぶん。いや、きっと殺される。
ピースがひとつ落ちた。
……まさか、血を吸われて?
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